神戸で2021年11月23日に開かれた、兵庫県高等学校商業教育協会研修委員会主催「総合分野研修会・高校生フェア(商業フェア)」にブースを出展しました。来場した子どもたちに、小学校の授業内で行う予定のロボット体験プログラムを試してもらうデモンストレーションを実施。子どもの保護者や他の来場者には、イベント告知チラシについてアンケート調査を行いました。高校生たちにとってはテストマーケティングの体験学習の場となりました。
「高校生フェア(商業フェア)」でテストマーケティング体験
高校生フェア(商業フェア)とは
2021年11月23日、高校生たちは神戸ポートタワー近くの「かもめりあ」で開かれた「高校生フェア(商業フェア)」に参加しました。このイベントは兵庫県高等学校商業教育協会研修委員会の主催によるもので、県内で商業を学ぶ高校生たちがブースを出展して、それぞれワークショップや物品販売などを行います。
尼崎双星高校の生徒たちは「産業用ロボット体験ブース」を出展。小学校の授業内で行う予定の「ロボット体験プログラム」を、来場した子どもたちに試してもらうデモンストレーションを実施しました。一方、子どもの保護者や他の来場者に対してはイベント告知チラシについてのアンケート調査をしました。いずれも、今後のイベントに活かすためのテストマーケティング調査になります。
高校生フェア(商業フェア)の事前準備
「自分たちの考えたロボット体験イベントを、子どもたちに楽しんでもらいたい!」その思いで、高校生たちは、当日スムーズに進むようデモンストレーションの練習をしたり、ロボット操作で使うグッズに子ども向けのかわいいイラストを描いたり、準備を着々と進めました。そこには、アンケートで何を聞いたら宣伝チラシとしてもっとよくなるかを考え、内容を細かく詰めていく真剣な姿もありました。
一緒に準備をした大学生は、高校生の発想力に驚かされました。「ブロックを組み合わせてロボットがつかむものをつくる際、大学生が話し合いをしてもよい考えが浮かばず悩んでいた。しかし、高校生がブロックを触ったら小さな動物やキャラクターなどたくさんのアイデアが生まれた」といいます。ほかにも、思いもよらないひらめきを持つ高校生に、力を借りる場面がたくさんあったそうです。
当日の様子①小学生向けワークショップ
ロボット操作プログラムの体験者から感想を聞く
ブースでは、訪れた子どもたちに小学校の授業で行う予定の「ロボットを使ったゲーム」のデモンストレーションを行います。
ところが、なかなか人が集まりません。自分たちが一生懸命考えて準備したロボットゲームをぜひ体験してほしいと、生徒たちは会場を歩く家族連れに勇気を出して声をかけました。すると、呼び込みが功を奏し、子どもたちが寄ってきてはゲームに挑みました。
ロボット操作体験プログラムは、ブロックを動かして遊ぶクレーンゲームにしました。楽しんで取り組む子どもたちがいる一方で「簡単すぎる」「もっとプログラミングを使うような内容にしたほうがいい」「絵のところを計算などにしたら」「景品を作ってみては」など、たくさんの感想やアドバイスをもらうことができました。大学生はブース設置を手伝い、ロボットでエラーが起きた時の対処をするなどフォローをしたり、写真撮影をしたりと高校生の活動を支えました。
高校生の現場でのひらめきが新プログラムを生む
現場で思わぬ収穫もありました。
来場者を待つ間、高校生自身がひらめきからアイデアを生み出し、自動化の新たなプログラムづくりに成功したのです。
まず「ロボットといえば自動で何かするもの」とひらめきました。
クレーンゲームで行っていたのは、「進む」「方向を変える」など一つずつ動作を指定して動かしていく形式ですが、生徒は「いくつかの動作を一連として記憶させ、ロボットが自動で繰り返す」という自動化形式のアイデアを思い付きます。先生からもアドバイスをもらい、「ロボットがひたすら繰り返してハンコをおす」というプログラムをつくって実際に動かしました。
高校生を当日引率した弊社社長の畠中は「その場でアイデアをひらめき、『自動化』というキーワードを教えられたのではなく自分で気付いたことに驚いた」といい、サポート役を務めた大学生も「現在活躍しているロボットは、工場などで『自動で』働くロボットなので、高校生が現場のロボットをイメージしながらプログラムをしたことをすごいと思った」と話しました。
高校生の感想
高校生からは「最初はほとんど人が来なかったけれど、呼びかけをしたら小さな男の子や女の子のいる家族連れに興味を持ってもらえた」「うまくいかない、あまり盛り上がらない、まだ私たちが覚えられていない部分が多い、と難しいこともあったけれど、『この遊びが面白いかも』と新しい別の意見が出て、まわりから学べることが多かった」といった感想が聞かれました。
当日の様子②チラシのテストマーケティング
イベントの内容が伝わるか、ドキドキのアンケート調査
子どもたちがロボットのプログラムを体験しているうちに、保護者や通行人へチラシのアンケート調査を行いました。
宣伝チラシは、プロのデザイナーから教わってアドバイスをもらいながらつくったものです。
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アンケート項目は「パッと見た時にどこに目が行くか」「文字数は多いか」「何かアドバイスがあれば」「カラフルかどうか」「タイトルは手書きまたはフォントのどちらがいいか」の5つ。
自分のつくったチラシに対し、自分で調査対象者を見つけてアンケートを行う形で、「作者」の高校生たちは、目の前の「読者」から直接感想を言われることにドキドキしながら来場者に声をかけました。
大学生たちは、高校生がアンケート調査に行く間にブースで店番をしたり、高校生たちを励ましてモチベーションを上げたりと、いろいろな面で協力しました。
来場者の反応と高校生の感想
来場者からの回答には好意的なものが多かったほか、「楽しさをもっと伝えて」「文字と画像をかぶせないほうがいい」「漢字を少なく」「会場や時間を強調しては」といったアドバイスもありました。高校生は「私はタイトルの『わくわくロボット』が目に入ってほしいという気持ちを込めたけれど、思ったよりタイトル(についての回答)の数が少ないことにびっくりした。みんなに同じことを思わせるのは難しいと気付いた」といいます。
今回のマーケティング体験を通して伝える側と受け手のギャップに気付いたことは、今後も役立つでしょう。
普段の学校生活では得られない気付き、学び、楽しさ
幅広い世代や社会との関わりが生んだ発見
高校生たちは「高校生フェア」をきっかけに学校から飛び出し、幅広い世代や社会と関わる機会を得ました。
「街中でアンケートを取ることで、学校では得られなかった新しい意見があり、どこがどうダメなのか詳しく知ることができた。大人の方から見た印象やロボットについて全然知らない人から得る情報はどれも新しく、参考になるものばかりだった」
「最初、祝日なのになんで行かなあかんの?と思ったけど、祝日だからこそ会えた他校の商業科の生徒や、小さな子のいる家族連れからお年寄りまでたくさんの人と関われた。私的に本当に行ってよかったなと思った」
「子どもたちから笑顔をもらった。自分も届けられるようになりたい」
生徒たちの率直な感想は、普段の学校生活ではなかなか得られない新たな気付きや学び、楽しさに満ちていました。
体験から得たものは未来へつながる
さまざまな人と接し、多様な意見に触れた高校生たち。
「自分では見慣れて気付けないことに対して、はたから見たら違和感やこうした方がよいという意見が出てくることを学び、第三者からの意見も大事にしていこうと思った」
「自分たちからいろいろな人に声をかけながらアンケートをしたのは初めてだったので、貴重ないい経験ができてとてもよかった」
視野を広げる体験から得たものは、未来へつながる貴重な財産です。
新型コロナ禍でもできた、他校との交流や思い出
「他校からもクッキーや手作り皿、石鹸などたくさんのブースが集結していた。夕方になると合唱部が来て、クラスのメンバーと大学生で歌ったり踊ったりしたことは、この高校生フェアの思い出。この一つのきっかけでいろんな輪をつなげられるんだなと思った」
「なかなかほかの高校生と関わることも珍しいので、よい機会になった」
新型コロナ禍で学校行事はもちろん、他校との交流なども難しい時期が続く中、心配は尽きませんでしたが、この高校生フェアは無事開催となり、生徒たちは思い出をつくることができました。
まとめ
神戸で開かれた「総合分野研修会・高校生フェア(商業フェア)」にブースを出展しました。
来場した子どもたちにロボット体験プログラムを試してもらい、子どもの保護者や他の来場者にはイベント告知チラシについてのアンケート調査を実施。高校生たちにとってはテストマーケティングの体験学習の場となりました。
子どもから大人まで幅広い年代の来場者と関わり、多様な意見に触れる中で、情報を伝える難しさを感じたり、トラブルにも臨機応変に動く柔軟さを発揮したり。普段の高校生活ではなかなか得られない気付きや学びのある体験をしました。
次回、尼崎双星高校編⑦テーマは「校内の課題研究(中間)発表会で活動へ積極的に挑戦した成果を発揮」です。