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尼崎双星高校編 2022年度④商品開発班/中野製作所様の樹脂加工技術で「スマホグリップ」を製作


尼崎双星高校での後期課題研究の授業で、生徒と企業が共同で商品開発を行いました。地元企業の技術と材料を活かすというテーマのもと、高校生たちは「実在する企業の新商品を本気で考える」、企業は「アイデアをもとに試作品を作る」というところまで取り組みました。樹脂加工を主力とする中野製作所様との新商品開発は、どのように進んだのでしょうか。


樹脂加工技術に優れ、試作や量産を行う「中野製作所」

注文を受ける試作のほか、自社製品の製造販売も

有限会社中野製作所様は尼崎にある、樹脂加工技術に優れたものづくりの会社です。
樹脂・プラスチック加工を主な業務とし、機械部品の金型をおこす前のプラスチックでの試作がメインで量産にも対応。特殊プリンターを使ったオリジナルやノベルティグッズの製作、工業パーツのデコレーションなども手がけており、尼崎城入口横の郵便ポストにのっている「シャチホコ」は同社による制作です。

有限会社中野製作所
尼崎経済新聞の記事「尼崎城前に『シャチホコポスト』登場 『観光名所となるようなポストに』」



2021年度にも尼崎双星高校の授業へ参加


同社とのご縁は、高校生や大学生が地元・尼崎エリアの企業を取材して作る、Webと冊子のメディア「学生がつくるシゴト図鑑 『ワザカタログ』」がきっかけです。
2021年度には尼崎市立尼崎双星高等学校(以下、尼崎双星高校)の授業に参加。企業見学や生徒からの取材に応じていただき、2022年度は、授業の新たなプロジェクトである「地元企業の技術と材料を活かした新商品開発」にご協力いただくことになりました。

ワザカタログ 中野製作所
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加工技術と材料を活かした商品開発


授業の流れ

「後期課題研究」の授業における高校生と中野製作所様との商品開発は、2022年9月から2023年1月まで以下のような流れで進めました。
【事前準備】
・企業研究:企業の担当者による出張授業を通し、事業や技術、商品について知識を得る
【商品開発】
・商品を考え、アイデアスケッチを描いて企業の担当者へプレゼンテーションを行う
・企業の担当者と相談しながら、3Dモデリングの技術を用いて絵から立体的な型を起こす
・看板商品をヒントに「スマホグリップ」を企業に試作してもらう
・企業見学をして、加工技術や設備、材料などについての理解を深める
【事後】
・活動内容をスライドの資料にまとめ、2022年11月の校内および2023年2月の関西国際大学での報告会で発表する
※9月~10月はロボメイツ班に協力し、小学校でのロボット体験授業にも参加




授業へ何度も参加、3Dモデリングの機械も高校へ


9月7日の初回授業では、当社の畠中が商品開発について説明し、ワザカタログ掲載コンテンツを使ったスライドでの企業紹介を実施。9月26日の授業には、中野製作所の戸井社長をはじめ社員さんもご来校し、事業や技術、自社製品についてなどさまざまなお話をしてくださいました。
商品開発班の中で、同社の「『とりあえずやってみよう』の精神に惹かれた」「『オンリーワン商品を作れる』と聞いて、何でも作れそう、楽しそうだと思った」と中野製作所との商品開発を志望した4人の生徒は、まずアイデア出しを開始。

社員さんたちは何度も学校へ足を運んで生徒からの相談に親身になって乗ってくださり、3Dモデリングの機械をわざわざ高校まで持ってきてくださったこともありました。
相談の結果、同社のオリジナル商品「ToyChuck®(トイチャック)」からヒントを得てスマホグリップを作ることに。3Dモデリングのソフトを使ってアイデアスケッチに描いたデザインを立体化した生徒は、「初めてで難しかったけど、貴重な体験で楽しかった!」と充実した表情でした。




自社開発の「トイチャック」とは


中野製作所様が「ToyCraft(トイクラフト)」というブランド名で生み出したのが、ファスナーの引手に付けるアイテム「ToyChuck®(トイチャック)」です。
ファスナーの引手に土台となる「ベース」を取り付け、飾りの部分である「トップ」を上からはめて使う付け替え可能な製品で、第4回あまがさきビジネスプランコンテスト準グランプリを受賞しました。
ECサイト ToyCraft(トイクラフト)/ToyChuck®製品例
尼崎のビジネスと雇用就労を促進する情報ポータルサイト
「アマポータル」 中野製作所様のページ



試作品に感激する生徒


スマホグリップは、トイチャックの「取り外し可能」「気分で付け替えられる」という特徴も生かしつつ、生徒が描いたアイデアスケッチの中からウサギの形も試作することになりました。
「かわいいだけでなく使いやすいことも大切だと考え、スマホグリップとスマホの間に指を挟むすき間があると使いやすいのではないかと実際に指のサイズを測ってデザインを決めていきました。また、食品サンプルのようなぷにぷにとした柔らかい素材を提案したところ、試作してくださったサンプルはとても愛らしいデザインに。ぷにぷに素材が癖になりそうな感じです!」と生徒は感激した様子でした。




企業見学で「ものづくり体験会」


マスクチャーム作りで樹脂加工に挑戦

12月には、生徒が企業見学で中野製作所様を訪れました。会社の中を見るだけでなく体験型のインターンシップです。
4人は機械設備や同社のオリジナル製品などを見学したほか、商品開発のアイデア出しでも候補に挙がった「マスクチャーム」の製作を体験させてもらいました。スマホグリップ用に描いたイラストが、今度はマスクチャームの飾りになるのです。飾りはレーザーで型を取り、イラストを印刷して作成。樹脂でできたビーズから好きな色を選んでピカピカに磨く「樹脂加工」にも挑戦しました。飾りとビーズをつなぐとマスクチャームの完成です。

ものづくりの工程を体験した生徒は、「見たことのない機械がたくさんあってとてもワクワクしました」「自分で描いたデザインを印刷したので、愛着が湧いて気に入りました」「ビーズ磨きの時にスタッフさんといろんな話をして盛り上がりました。とても楽しかったです!」と感想を話しました。






ほかにも、開発した「スマホグリップ」の試作品を見せてもらいました。ここでも中野製作所の皆さんは、「もっとこうしたら?」とサイズなどの改善案を話し合い、メモをとっていきます。あくなき探求心と改善を進める姿を目の当たりにした高校生たちは、プロのお仕事に驚いていました。




生徒の感想


商品開発プロジェクトを通して得た学び、気付き

・学生生活の授業の中で一番楽しかった!ここで学んだアイデアを生み出す力やコミュニケーション力などを、これからの人生でも活用していきたい。
・商品のアイデアを考える際、既存の商品や開発コスト、需要と供給など、たくさんのことを意識しなければならないと気付いた。
・アイデア出しの時に、起きてから寝るまでのルーティーンを絵に描いて思い出し、その中で不便なことを書き出した。次に、自分の欲しいものや今、流行りのものを思い浮かべた。
・企業見学では、大きな機械や特殊な機械などを実際に見たり、3Dデザインをしたりと、なかなかできない貴重な経験をした。


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まとめ

尼崎双星高校での「後期課題研究」の授業で、生徒と企業が共同で商品開発を実施。「地元企業の技術と材料を活かす」というテーマのもと、高校生たちは「実在する企業の新商品を本気で考える」、企業は「アイデアをもとに試作品を作る」というところまで取り組みました。中野製作所様との新商品開発では、生徒の描いたイラストで、こだわりの触感を実現した「スマホグリップ」が誕生しました。同校の授業レポートは「⑤商品開発班/柏木鉄工様の金属加工技術で『みかん皮むき器』を製作」へ続きます。

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