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神戸工科高校で小中学生向けイベント「ロボット大作戦 ロボメイツ」


今年度(2023年度)より、産業用ロボットオペレーター育成プログラム「ロボメイツ」の一環として神戸市立神戸工科高等学校で授業を開始。その生徒たちが、学校見学とロボット体験を組み合わせた小中学生向けのイベントを企画し、8月22日(火)に「探して集めて有名ピザ店を超えろ!ロボット大作戦 ロボメイツ」を開催しました。



産業用ロボット教材「ミニマル工場」で使う「あまロボ」を製作


神戸工科高校では今年度より授業を開始


これまで、産業用ロボットオペレーター育成プログラム「ロボメイツ」の一環として、尼崎市立尼崎双星高等学校、尼崎市立琴ノ浦高等学校、兵庫県立川西明峰高等学校で授業を行ってきましたが、今年度(2023年度)は新たに神戸市立神戸工科高等学校でも授業を始めました。
同校では、課題研究で「ロボット制御」に取り組む4年生6人がアームロボット教材を作り、使うことに関わる経験を通して、ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)としての基礎を学んでいます。

神戸市立神戸工科高等学校



アームロボット教材「あまロボ」の量産に挑戦


他校の授業ではロボット操作の学習や小学校向け授業の開発などを中心に行ってきましたが、神戸工科高校ではロボットやプログラミングについての学習に加え、初めて、ロボメイツオリジナルのアームロボット教材の量産に挑戦しました。

これまでの授業では、主に市販の教材用アームロボット1台で、対象物をつかんで正しい場所へ置くというプログラミングや操作の作業をしていました。
次なる目標は、部品を運ぶコンベアと作業するアームロボット、コントローラなどを組み合わせ、小学校の机の上に置けるサイズにしたもの。いわば小さな工場として「ミニマル工場」と名付けました。ロボメイツにご協力いただいている産業技術短期大学の二井見博文教授(電気電子工学科)と当社、神戸工科高等学校が共同開発し、今年、待望の教材化が実現しました。
このミニマル工場で使うメインとなるアームロボットを「あまロボ」といいます。同校の生徒6人が課題研究で設計や組み立て、量産、プログラミングを行った「あまロボ2023」が今回のイベントの教材となりました。



夏休みに小中学生向けのワークショップ開催へ


高校生たちは「あまロボ」の量産と並行して、夏休みに小中学生向けワークショップを開く準備に着手。イベント内容にはロボット体験に加え、学校見学も取り入れました。
参加者の小中学生たちは、まず神戸工科高校の校内を巡って施設見学をしながら必要な部品を集め、ロボットを組み立てます。次に「あまロボ2023」や各部品をつないでミニマル工場を作り、操作をして、ロボットが自動的にピザを製造する生産ラインを立ち上げたらゴールというゲームに取り組みます。



探して集めて有名ピザ店を超えろ!ロボット大作戦 ロボメイツ


ピザ作りは高校生のアイデア

イベント名は「探して集めて有名ピザ店を超えろ!ロボット大作戦 ロボメイツ」。
テーマの「ピザ」は、ロボットの作業をピザ作りの工程に見立てたら小中学生が楽しめるのではという高校生のアイデアから生まれました。
具材は野菜や卵、ソーセージなどが描かれた木製のおもちゃです。コンベアの上の具材をアームロボットがキャッチして運び、ターンテーブルのピザ生地の上へ並べてピザが完成するという楽しい仕掛けができました。

YouTube動画
神戸市教育委員会神戸工科高校
探して集めて有名ビザ店を超えろ!ロボット大作戦「ロボメイツ」の使用教材紹介動画

先生方や他の生徒たちにも協力を得て、無事に開催

8月22日(火)のイベント当日は夏休み中でしたが、校長先生をはじめ多数の先生方がご協力くださり、課題研究の生徒と生徒会メンバーが準備や当日の司会、誘導、説明にと大活躍でした。
初めにスライドを使った学校紹介、校長先生と生徒によるあいさつの後、 パナソニック コネクト株式会社様のロボット紹介動画を上映しました。






学校見学とロボット組み立て


次はロボットのパーツを探して集める学校見学です。普段入ることのない高校の内部、その上、神戸工科高校にはさまざまな機械や設備があり、小中学生たちの目はキラキラ。
コンピュータ実習室で3Dプリンターを見た後に1つ目のパーツを受け取り、ロボット実習室では、産業用ロボットの実物を動かす様子を見てから2つ目のパーツを受け取りました。アームロボットがスタンプを持ち上げ、お土産用の紙袋へ角度を変えながら少しずつおしていって、マークを描き上げました。






教室へ戻ったら、いよいよロボット組み立て体験です。
1人に1台が用意され、集めたパーツや工具、材料がそろっているかチェックをしたら、順番にねじ留めをして組み立て、動作確認するという流れで実施。高校生たちは、真剣なまなざしで取り組む子どもたちを見守り、様子を見ながら声をかけてやさしくサポートしていました。
組み立てたロボットは、お土産としてプレゼントしました(イベント参加費は無料)。子どもたちがロボットに親しみ、家族やお友達にも楽しさを伝え、広めてくれたらと願っています。




ミニマル工場を作って「あまロボ2023」を動かす


ミニマル工場を作る準備はライン設計からスタート。あまロボ2023の配線をして組み立て、具材を運ぶコンベヤと載せるターンテーブルを接続し、動かしやすいようレイアウトしました。
さらに、ロボットを動かすコントローラとなる「マスタ」を使って、動かされる方のロボット「スレーブ」を操作し、ピザの具材をつまんで離す練習も行いました。



システムインテグレーター(SIer)の仕事紹介動画


ロボメイツでイベントを開く目的の一つに「子どもたちにロボット関連の仕事を知ってもらうこと」があります。
今回のイベントでは、企業がロボットを導入する際にサポートし、システムの計画から実際の運用まで、提案、設計、組み立てなど幅広い業務を担うシステムインテグレータ(SIer)を紹介する経済産業省の動画を上映しました。



ティーチング体験でピザ作り


最後は、ロボットに動きを覚えさせて操作し、ピザ作りの工程を自動化する「ティーチング体験」を行いました。
スイッチを入れて「マスタ」のコントローラを動かして、「スレーブ」がベルト上の具材をつかんで持ち上げ、ターンテーブルに下ろすよう操作。次に、狙い通りの動きを自動で繰り返しできるか、ターンテーブルが回って具材がまんべんなく置かれていくかなど、スタートさせて様子をみました。
うまくいかない時は自分で工夫しながら、サポートの高校生のアドバイスも聞いて挑戦を繰り返していました。




イベントを終えて


閉会式

閉会式では、参加者一人一人に生徒から修了証が送られました。また、パナソニック コネクト株式会社様や産技短大の二井見教授など、お越しくださった来賓の中から、経済産業省のロボット分野のご担当者様に講評をいただきました。
休憩をはさみながら約3時間に及ぶイベントで、参加者の小中学生たちには苦労した点がそれぞれあったようでしたが、飽きることなく集中して取り組み、みんな最後は「楽しかった!」と笑顔で会場を後にしました。




小中学生の感想


小中学生の感想です。
・もっと遊びたかった。
・ネジを回して入れるのが難しかった。
・ティーチングに時間がかかった。ピザ作りで失敗ばかりだったけれど、最後に成功してうれしかった。
・自分で動かしたのを機械が同じ動きを繰り返していて、変になった時もあったけど、楽しかった。
・クレーンゲームのように動くスレーブを見て、自分が作ったと思うとうれしかった。
・自分でプログラムする(もっとこうだったらいいなと思うこと)。
・プログラミングやアームロボットの仕組みに興味を持った。

高校生たちの感想

高校生たちの感想です。
「あまり小学生と接することがないので、新しい体験でした。子どもたちは飲み込みが早く、予想以上にすぐできて驚いた。夏休み中も登校して準備は大変でしたが、いい形で終われてよかった!」

「小学生に教えるのが初めてで、理解してもらえるか不安でした。でも、みんな一生懸命集中してくれて理解が早かった。最終的にみんな楽しいと言ってくれてよかったし、うまくいった時に喜んでくれてすごくうれしかったです。社会人になって後輩へ教える時に役立つといいなと思います」

「例えばネジの付け方やナット、ワッシャーといった部品など、自分は工科高校の生徒なので理解していることでも子どもたちは当然知らないし、すぐにはできない。伝えることは難しいなと感じました。それでも、子どもが楽しそうに作業できたことや、自分が前に立って話す経験ができたことはとてもよかったです」

「子どもと関わる機会が普段ないので、とても緊張しました。教える時はやさしく接するようにして、イベント前は想像がつかなかったけれど、意外といい感じでした。ロボットについて以外にも学べることが多かったです」




ロボメイツスタッフの感想


ロボメイツスタッフの感想です。
「小中学生たちが真剣にやってくれているのがすごく伝わりました。そして、自分のロボットに夢中になるくらい楽しんでくれたんだ、とうれしく思います。教えている高校生に対しては、自分の高校時代を思い出しながら『がんばってるなぁ』と応援していました」

「子どもたちを見ていると『ワクワクしているな』って。今回得た知見が進路を考えるきっかけになり、将来、ロボット業界で活躍してくれるかもと期待がふくらむような授業でした。とても楽しかったです」

「僕も研究しているミニマル工場が、小中学生や神戸工科高校の皆さんなどいろいろな人に広がっていって、ロボットに興味を持ってくれたり、楽しむことが伝わったりしたのであれば、今後も研究を続けていく意味があるな、と思いました。
どうやったらうまくいくか、どこをどう触ったらどう動くか。ロボットを通して小中学生が自分で考える力を培っていたと思うので、うれしかったです。
高校生は小中学生に寄り添って、みんなそれぞれやさしく笑顔で接していて、内容もすごくわかりやすかったです」




まとめ


参加者の小中学生たちは、神戸工科高校の校内を巡って施設見学をしながら必要な部品を集め、「あまロボ2023」の組み立てや操作に挑戦。難しいと感じる場面もあったようですが、高校生のサポートのもと、ロボットが自動的にピザを製造する生産ラインを立ち上げたらゴールというゲームに取り組みました。最後は「楽しかった!」と笑顔で終えました。

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